建築中の建物でも、保険に加入できる場合はあります。ただし、完成後の住宅を対象にする通常の火災保険・地震保険を、建築中からそのまま付けられるとは限りません。
建築中の火災や台風などの損害は、まず建設工事保険などの工事中向け保険で補償するのが基本です。完成後の火災保険は、引き渡し日や入居開始日を補償開始日にして、建築中から申し込む形になることがあります。
建築中の火災保険は「加入時期」と「補償開始日」を分けて考える
完成前でも、完成後に備える火災保険を事前に申し込める場合があります。ただし、申し込んだ日から建築中の建物が補償されるとは限りません。
保険会社は、建物の完成予定日、構造、所在地、建築金額、工事の進み具合などを確認して、引き受けの可否や補償開始日を決めます。したがって、契約前に次の2点を分けて確認してください。
- 建築中の建物自体が、いつから火災保険の補償対象になるか
- 完成・引き渡し後の住宅について、いつから通常の火災保険が始まるか
完成後の火災保険を申し込んでいても、補償開始日が引き渡し日以降なら、工事中の火災や事故はその保険では補償されない可能性があります。
建築中の火災や損害は建設工事保険で備える
建物の工事中に起きる火災、落雷、風災、水災、盗難などは、完成後の住宅向け火災保険ではなく、建設工事保険などの工事中向け保険で補償することがあります。
誰が加入するかは、工事請負契約や保険契約によって異なります。施工会社が工事中の保険に加入している場合もありますが、加入していることだけで、施主の建物やすべての損害が補償されるとは限りません。
施工会社に、次の内容を書面や契約書で確認しましょう。
- 工事中の建物に保険を付けているか
- 保険の対象が建物本体、資材、仮設物のどこまでか
- 補償される事故と、補償されない事故は何か
- 保険期間は着工から引き渡しまでか
- 事故が起きた場合、誰が保険会社へ連絡するか
- 施主の所有物や支給した設備が補償対象になるか
工事中の保険に加入しているか分からない場合は、施工会社に保険証券や補償内容の提示を求め、補償対象と免責事項を確認してください。
建築中の地震保険は通常の住宅用地震保険とは扱いが異なる
地震保険は、火災保険に付帯して契約する保険で、地震保険だけを単独で契約することはできません。建築中の建物について、完成後の住宅向け地震保険を工事中から付けられるかは、火災保険と同様に保険会社の引き受け条件の確認が必要です。
少なくとも、完成後の住宅に付ける地震保険を申し込んだだけで、建築中の損害まで自動的に補償されるとは考えないでください。工事中の地震による損害は、建設工事保険などで補償される場合がありますが、地震・噴火・津波が補償対象外になっている契約もあります。
そのため、工事中に地震が起きた場合については、次のように確認します。
- 工事中の保険に地震損害の補償があるか
- 地震による火災、倒壊、損傷のどこまでが対象か
- 地震補償を付けるための追加条件や免責金額があるか
- 完成後の地震保険は、いつから始まるか
建築中の保険と完成後の保険の違い
| 確認項目 | 建築中 | 完成・引き渡し後 |
|---|---|---|
| 主な保険 | 建設工事保険など | 住宅向け火災保険、地震保険 |
| 主な対象 | 工事中の建物、資材、工事に関係する物 | 完成した建物、家財 |
| 契約者の例 | 施工会社、工事関係者、施主など | 建物の所有者、家財の所有者 |
| 地震の補償 | 契約に含まれるか個別確認が必要 | 火災保険に付帯して地震保険を契約 |
この表は一般的な区分です。実際の補償範囲や契約者は、保険商品、工事請負契約、建物の所有関係によって異なります。
加入できるか確認する手順
- 工事請負契約を確認する。工事中の損害について、施工会社が加入する保険や損害負担の定めを確認します。
- 施工会社に保険の補償内容を聞く。保険名だけでなく、地震、火災、風災、盗難、資材の損害が対象かを確認します。
- 保険会社または代理店に建築中であることを伝える。所在地、構造、完成予定日、工事の進み具合、引き渡し予定日を伝え、加入可否を確認します。
- 補償開始日を確認する。申込日、完成日、引き渡し日、入居開始日のどれが基準になるかを確認します。
- 完成後の火災保険と地震保険を手配する。地震保険を希望する場合は、火災保険と同時に付帯できるか、いつまでに申し込む必要があるかを確認します。
住宅ローンを利用する場合は、金融機関から火災保険の加入証明や補償条件を求められることがあります。ただし、金融機関が求める保険は、建築中のすべての損害を補償する契約とは限りません。ローンの条件と工事中の補償を別々に確認してください。
建築中の保険で特に注意したい点
工事中の保険に地震補償があるとは限らない
建設工事保険などは、商品や契約によって地震、噴火、津波が対象外になることがあります。「工事中の保険に入っている」という説明だけで、地震による損害も補償されると判断しないことが大切です。
建物と家財は別に確認する
建築中の建物の補償と、施主が現場に置いた家具・家電・支給品の補償は、同じ扱いとは限りません。特に、施主が用意した設備や資材を現場に搬入する場合は、補償対象と管理責任を確認してください。
引き渡し前後で責任の所在が変わることがある
工事中は施工会社が管理し、引き渡し後は施主が管理するなど、時期によって損害の負担者が変わることがあります。引き渡し日を境に保険が切れないよう、工事中の保険の終了日と住宅用火災保険の開始日をつなげて確認しましょう。
建築中に火災保険・地震保険へ加入できるかの結論
建築中でも保険を準備できる場合はありますが、完成後の火災保険・地震保険が工事中から自動的に補償するわけではありません。工事中は建設工事保険など、完成後は住宅向け火災保険と、必要に応じた地震保険というように、時期ごとの補償を確認します。
最初に、施工会社へ工事中の火災・地震の補償内容を確認し、そのうえで保険会社または代理店に完成予定日と引き渡し日を伝えて、補償開始日が空白にならないよう手配してください。







