火災保険と地震保険の保険金額は、建物と家財を分けて、再調達価額を基準に設定します。地震保険は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定し、建物5,000万円、家財1,000万円が上限です。
ただし、火災保険の契約内容や建物の構造、所在地、マンションか一戸建てかによって適切な金額は変わります。保険料を抑えるために、必要な補償額を下回って設定するのは慎重に判断しましょう。
火災保険の保険金額は再調達価額を基準にする
火災保険の保険金額は、事故に遭った建物や家財を、同等のものに建て直したり買い直したりするために必要な金額を基準に設定します。この金額を一般に再調達価額といいます。
現在の売却価格や住宅ローン残高と、再調達価額は一致するとは限りません。保険金額を決めるときは、土地の価格やローン残高ではなく、建物と家財それぞれの再調達に必要な金額を確認します。
建物の保険金額の設定方法
建物は、同じ場所に同程度の住宅を建て直す場合に必要な建築費を基準にします。土地代は建物の再建築費に含めません。
たとえば、建物の再調達価額が2,500万円と算定された場合、建物の火災保険金額も2,500万円を目安にします。実際の算定方法は、建物の構造、延べ床面積、建築年、所在地などによって保険会社が確認します。
- 一戸建て:建物本体に加え、門、塀、車庫などを補償対象に含めるか確認する
- マンション:専有部分と共用部分を分けて考える
- 賃貸住宅:通常、入居者が建物全体の保険金額を設定するのではなく、家財を中心に契約する
マンションでは、管理組合が共用部分の保険に加入していることがあります。個人で契約する火災保険は、専有部分や家財が中心になるため、共用部分の補償と重複しないか確認します。
家財の保険金額の設定方法
家財は、家具、家電、衣類、食器などを同程度のものに買い直すための金額を合計して設定します。家財の一覧を作り、品目ごとにおおよその再購入額を計算すると、必要額を把握しやすくなります。
高額な貴金属、時計、美術品などは、通常の家財補償とは別に申告や限度額の設定が必要になることがあります。対象になる品物や支払限度額は保険会社によって異なるため、契約前に確認してください。
家財の保険金額を決めるときは、単身世帯か家族世帯かだけで決めず、実際に所有している家財の量と高額品の有無を反映させることが大切です。
地震保険の保険金額は火災保険の30~50%で設定する
地震保険の保険金額は、単独で自由に決めるのではなく、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定します。地震保険の保険金額には、次の上限があります。
| 対象 | 地震保険金額の設定範囲 | 上限額 |
|---|---|---|
| 建物 | 火災保険金額の30~50% | 5,000万円 |
| 家財 | 火災保険金額の30~50% | 1,000万円 |
たとえば、建物の火災保険金額を2,500万円、家財を800万円に設定した場合、地震保険金額は次の範囲になります。
- 建物:750万円~1,250万円
- 家財:240万円~400万円
この計算は、火災保険金額に30%または50%を掛けたものです。ただし、地震保険の上限額を超える設定はできません。
制度の基本的な上限や設定範囲は、財務省の地震保険制度に関する資料で確認できます。
地震保険を50%にすれば建て替え費用を全額補償できるわけではない
地震保険は、地震による損害で生活を立て直すための保険であり、建物や家財の損害額を全額補償するものではありません。地震保険金額は火災保険金額の最大50%までなので、全損害を補う目的で設定することはできません。
また、地震保険では損害の程度に応じて、全損、大半損、小半損、一部損などの区分で保険金が支払われます。実際の支払額は、契約時期や契約内容、損害認定の結果によって決まります。
そのため、地震保険金額を30%にするか50%にするかは、次のような条件を踏まえて判断します。
- 地震後の生活費や仮住まい費用をどの程度準備できるか
- 住宅ローンが残っているか
- 貯蓄で修理や引っ越しの費用を用意できるか
- 建物や家財の損害にどの程度備えたいか
- 保険料の負担を家計に無理なく組み込めるか
地震後の当面の生活資金を重視する場合は、設定可能な範囲で高めにする考え方があります。一方、保険料を抑え、貯蓄などと組み合わせる場合は、30%など低めの設定を検討します。どちらが適切かは、家計の資金余力によって異なります。
火災保険と地震保険の設定例
仮に、建物の再調達価額が2,500万円、家財の再調達価額が800万円とします。この場合の設定例は次のとおりです。
| 対象 | 火災保険金額 | 地震保険金額30% | 地震保険金額50% |
|---|---|---|---|
| 建物 | 2,500万円 | 750万円 | 1,250万円 |
| 家財 | 800万円 | 240万円 | 400万円 |
これは計算方法を示すための仮定例であり、実際の再調達価額や契約可能額を示すものではありません。建物の評価額や家財の金額は、保険会社の評価方法によって異なる場合があります。
保険金額を決めるときの確認手順
保険金額は、次の順番で確認すると設定しやすくなります。
- 建物と家財を分ける。建物本体、専有部分、家財など、何を補償したいのかを整理します。
- 建物の再調達価額を確認する。延べ床面積、構造、建築年、所在地などを保険会社に伝え、建て直しに必要な金額を確認します。
- 家財を見積もる。家具、家電、衣類などを買い直す場合の金額を合計します。
- 火災保険金額を設定する。再調達価額を大きく下回らないように、建物と家財を別々に設定します。
- 地震保険金額を計算する。建物と家財それぞれについて、火災保険金額の30~50%の範囲で設定します。
- 対象外や限度額を確認する。地震による火災、高額品、車庫、門や塀などが補償対象に含まれるかを確認します。
保険金額を低く設定するときの注意点
火災保険金額を再調達価額より低くすると、損害が発生したときに必要な修理費や再建費を十分に受け取れない可能性があります。保険料を下げられても、事故後の自己負担が大きくなることがあります。
反対に、実際の再調達価額を超えて高く設定しても、損害額を超える保険金を受け取れるわけではありません。保険金額を高くすれば必ず有利になるとは限らないため、評価額を基準に設定します。
契約後に増改築をした、家財が増えた、住宅ローンを完済したなどの場合は、保険金額や補償対象が現在の状況に合っているか見直します。ローン残高だけを基準に変更すると、実際の建物の再調達価額とずれることがあるため注意が必要です。
設定前に確認したい補償の範囲
火災保険に加入していても、地震、噴火、津波を原因とする損害は、通常の火災保険だけでは補償されない場合があります。地震による損害に備えるには、火災保険に地震保険を付帯する必要があります。
また、火災保険では水災、風災、盗難、水濡れなどの補償を付けるかどうかで、補償範囲が変わります。保険金額だけでなく、住んでいる地域の災害リスクや建物の立地に合った補償かも確認してください。
最初に、建物と家財の再調達価額を別々に確認し、火災保険金額を設定します。そのうえで、地震保険は火災保険金額の30~50%の範囲から、貯蓄や住宅ローン、保険料とのバランスを考えて決めるのが基本です。







